了承の意味を込めて片手を上げたカールに、レオナルドは頷き返す。
 その後ろ姿を見送ったあと、レオナルドは今さっきのカールの報告を考え直した。

 ──エイル家がごろつきと?

 エイル家はコスタ家と並び、ハイランダ帝国を代表する名門騎士家系だ。
 三人の子息達は全員が皇都騎士団に入団し、長男は第一師団の師団長を、次男は第三師団の副師団長を務めている。三男のジェフリーはアイリスと同期でまだ入団一年目だ。思うところがあって、つい最近第五師団に異動させた。

 ──なぜ、エイル家がそんな連中と付き合っている?

 考えながらトントンと机を叩く指先の音が、シンとした執務室に溶けて消えた。