その瞬間、我慢していた気持ちが溢れるのを感じた。
 たった一言だけれど、自分が救われるような気がしたのだ。

 騎士は泣いてなどならない。剣を片手に、戦うものだ。
 けれど、今だけは、この瞬間だけは許してほしい。

 思わずトンっとその胸に飛び込むと、優しく背中に手が回された。
 すすり泣きはやがて嗚咽へと変わる。
 レオナルドはその間、何も言わずにアイリスに寄り添い続けてくれた。