アイリスは驚いて目を見開く。

『自分の名誉を挽回できるのは自分だけ』

 つまり、レオナルドはアイリスにチャンスを与えたのだ。あんな失態をおかした自分が挽回するためのチャンスを。

 ──本当にこの人は……。

 優しい慰めは一切言わないけれど、どれだけ気にかけてくれているかはよくわかる。
 アイリスはしっかりとレオナルドを見つめ、頷いた。

「必ずやご期待に応えます」
「よし」

 レオナルドはフッと口元に笑みを浮かべると、「では、勤務に戻れ」と命じる。
 そのぶっきらぼうな優しさが、なおさら心に染みた。


    ◇ ◇ ◇