「ここ最近問題になっていた違法薬物の製造・販売組織だが、大元の拠点が判明した。突入作戦の予定日は一週間後だ」

 淡々と続くレオナルドの説明に、アイリスはハッと息を呑む。
 違法薬物の製造・販売組織。それは忘れもしない、アイリスとカインが失態をおこしたあの事件のときに追っていた組織だ。

「閣下!」

 一通りの説明が終わり解散となった後、アイリスは思わずレオナルドを呼び止めた。
 レオナルドはくるりと振り返り、アイリスを見下ろす。

「なんだ?」
「あの、わたくしでいいのでしょうか。あんな──」

 失態を起こしたのに。そう続けようとした言葉は、レオナルドにより遮られる。

「いいと判断したから指名した。自分の名誉を挽回できるのは自分だけだ。心して任務に当たれ。次はない」