これよ、と言ったカトリーンは複数の薬包をレオナルドと自分の間に置かれたテーブルに乗せる。

「完璧な対応だ。礼を言おう。後は、こちらで対処する。また何かあったら相談しよう」

 カトリーンはホッとしたような表情を見せると、ソファーから立ち上がる。

 その後ろ姿を見送ってから、レオナルドは執務机を開けて以前カールが届けてくれた報告書を引っ張り出した。勢いよく紙を捲り、目的のページで手を止めた。
 素早く目を通し、その内容をもう一度確認する。

「グレイル。少し調べてほしいことがある」
「なんでしょうか?」
「四年ほど前に、コスタ家の女主人であったソフィア=コスタが馬車の脱輪で亡くなっている。そのときのことを、もう一度関係者に調査してくれないか?」

 レオナルドの言葉を聞いたグレイルはすぐにレオナルドが何を気にしているのか気付いたようだ。表情を引き締めると、こくりと頷いた。