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 レオナルドは昨日押収されたという小さな白い紙包み──薬包を摘まみ上げると、鼻に皺を寄せる。

「またか」
「はい。先日の摘発で本拠地は押さえたと思っていたのですが、どうやら同じ規模のアジトが別にありそうです」

 グレイルは手に持った調査書面を読み上げながら、レオナルドに説明する。
 
 アイリスとカインが大怪我を負ったあの日、皇都騎士団は違法薬物を密売する組織の本拠地の摘発にあたっていた。
 複数人の摘発に成功し製造拠点も取り押さえたため、これで組織は壊滅すると考えていた。しかし、その後も違法薬物の押収は続いており、どうやら本当の本拠地は別にありそうだということがわかってきたのだ。

 現在、レオナルドは全力で部下達にその調査に当たらせている。