いつも厳しい態度なのにさり気なく見せる優しさが亡き父を彷彿とさせる。
 アイリスはレオナルドを窺い見る。
 高い鼻梁と鋭い目付きの、男らしく凜々しい横顔が目に入った。

 ──ディーン、次の騎士団の入団試験は受けられるといいな。

 このまま事態が好転してくれるよう、心の中で祈りを捧げた。


    ◇ ◇ ◇


 しかし、僅か一週間後、アイリスのそんな淡い期待は見事に打ち砕かれた。
 アイリスは実家から届いた手紙を開き、その文面を視線でなぞる。

「え……、噓……」

 そこには、体調が回復していたディーンが再び倒れたと書かれていたのだ。しかも、これまでになくひどい状態で、診察に訪れた医師もお手上げの状態だという。