「今、宮廷薬師の中に一人だけ魔法薬を扱える方がいらっしゃるわ。カトリーンさんって言うんだけど──」
「カトリーンさん? その方なら知っています」
 
 カトリーンはまさに、アイリスが町で薬を買い、さらに今回の大怪我の際も薬の処方をしてくれた宮廷薬師だ。

 これまでもアイリスはカトリーンから体力回復の薬を買い、ディーンに送ってきた。その薬を飲むと数日間体調がよいとディーンからは聞いている。
 今度は体力回復ではなく、もっと症状を詳細に話して治療薬を処方してもらえばいいのではないだろうか。

 ──それがあれば、ディーンも元気になるかも。

 アイリスは微かな光明が差すの感じ、表情を明るくした。