「わたくしは行けないけれど、弟さんが心配ね。どうにかできないかしら……」

 リリアナは困ったように頬に手を当てる。そして、「あっ!」と声を上げてポンと手を叩いた。
 
「魔法薬を試すのはどうかしら?」
「魔法薬、ですか?」
「そうよ。アイリスさんも宮殿の医務室に運び込まれたときに使っているはずよ。わたくしの故郷では、薬も普通のものとは違って魔力を込めて効き目を増強したものが使われていたの。普通の薬に比べれば数段効き目がいいはずよ」

 普通の薬に比べて数段効き目がよいと聞いて、確かに思い当たる点はあった。
 アイリスはあれだけの大怪我を負ったにも拘わらず、医務室に運び込まれた翌日には傷口が塞がり、自由に自力で歩き回れるまで回復していたのだ。