「はい。強く、公明正大で、面倒見がよくて、一見厳しいようでいて相手のことをきちんと見ていてくれて──」

 そこまで言って、脳裏に一人の男性が思い浮かぶ。
 口にはしないけど、いつも自分のことを気にかけてくれる──。

「まるで、誰かのことを想像しながら言っているみたいね」
「そういうわけではありません」

 楽しそうに微笑むリリアナの指摘に、アイリスは頬が赤らむのを感じて咄嗟に首を振った。