「あまり考えたことがありません」
「一度も?」

 アイリスは問いかけられて、アイリスはまた目を伏せる。
 かつては自分も、自分だけの騎士様が現れると思っていた。

「そうですね、強い人がいいです」

 もしも結婚するなら、亡き父のように誰よりも強い人がいいと思った。

「強い人。騎士であるアイリスさんらしい答えね」

 リリアナが微笑む。