レオナルドはアイリスの後方、訓練場の入り口へと視線を向ける。

「そろそろもう一人も来るはずなんだが……」
「もう一人?」

 アイリスが首を傾げたそのとき、遠くから「ディーン!」と呼ぶ声がした。
 アイリスは咄嗟にそちらを振り返る。

「カイン!」

 そこには、皇都騎士団の制服を着たカインがいた。

「腕は? 大丈夫なの?」

 アイリスは驚いてカインの元に駆け寄る。

 医務室にいた人の話では、カインの怪我はひどく、元通りに剣を握れる可能性は極めて低いと聞いていたのだ。
 カインは苦笑いするように、自分の右腕を摩った。