近衛騎士団とは、皇帝を始めとする皇族を守るための精鋭部隊だ。特に腕の立つ騎士だけで構成されており、騎士の頂点とも言える存在である。

「私は、除名されたのではないのですか?」
「皇都騎士団からの除名は正しいな。今後は近衛騎士として働いてもらう」
「……なぜですか?」

 アイリスは呆然として聞き返した。
 自分は除名され、コスタ家は終わると思っていた。それなのに、なぜレオナルドがこんな処分にしたのかがわからない。

「なぜ? 非常に腕が立ち、有能な女騎士を見つけたから皇后陛下の護衛役を任命しただけだ。男騎士では湯浴みや着替えなどのときにどうしても離れざるを得ないが、その点女の騎士は適している。部屋で襲われたときの対応も見事だった。懸念事項だったワイバーンとの適性もある。適任を適所に配置するのに、他になんの理由がいる?」

 部屋で襲われたときの対応と言われ、すぐに先ほど突然グレイルに襲われたことを言っているのだとわかった。
 それに、ワイバーンとの適正と聞いて、レオナルドが最初からこれを見るために自分をワイバーンのお世話係に任命したのだと今更ながらに気付いた。