目が合ったから、かな

「お詫びの品を渡しに来ただけだから秘密にしてね」

口元に人差し指を当てシーッというジェスチャーをする彼。

そしてゆっくり、でも確実に私に近寄ってきてる。

気のせいでありますように。

そんな願いもむなしく私の席の前で立ち止まる彼。

「きみ、前田綾乃ちゃんだよね?」

パニックになって周りを見渡す。

みんなが注目してる。

「ち、違います。人違いじゃないんですか?」

なんで嘘ついたー私。

どうせバレるのに

「えぇーじゃあドジ子っていえば…」

「はい、私が前田綾乃です。」

ほんっとにドジ子はやめて

「だよね。あ、これ昨日のお詫び」

そういい手渡されたのは

「…ヒール?」

昨日はいていたのに似ているヒールだった。