「起立ー、礼」


気だるそうな先生の一声で3時間目がはじまる。



淡々と微分・積分の解説を話す先生の横顔をぼーっと見つめていると、不意に目が合った。


「じゃーここまでで、なにか質問ある人?」


先生は私の顔をしばらく見たあと、周りを見渡した。


「先生ー」

クラスのお調子者男子が手を挙げる。


確か名前は、、

「なんだ?山下」


そうだ、山下君だ
先生よく覚えてるな、みんなの名前

私は少し感心していた。


「今日LHRで文化祭のこと決めんすけど、何やったらいいと思います?一緒に考えてくださいよー」



「はー?やだよめんどくせぇ。そういうのは生徒が決めるもんだろー?」

頭をポリポリとかきながら先生は言った。


「ぎゃはは、それでも教師かよー」

山下くんは周りと爆笑している。


しかし、その一言には共感だ。
この先生はほんっとうに教師らしくない。


「女装カフェとかやったら西村ちゃん出てくれるー?」

「いーじゃん!絶対かわいい〜」

女子たちの歓声が上がる。


「絶対嫌だね」

先生は、陽キャこえーとか小さく言いながら発案者を睨んでいる。


「じゃあもう後は自習な。残りの時間文化祭のこと決めといていいぞ」


先生はそう言いながらヒラヒラと手を振って教室を出ていった。

生徒たちは喜びの声を上げている。