「大丈夫か?」

急に目の前が影で暗くなって
頭上から男性の低い声がふってきた。

聞き覚えのある声だ。

そう感じたけど、今にも意識が飛びそうなのを必死で耐えている私は、顔をあげることができない。


「はぁっ大丈、夫、、です」


肩で息をして頷きながら私は答えた。

「いやいや、大丈夫じゃないだろ。」


、、、まずい、救急車とか呼ばれたらどうしよう
はやくどっかいって、、


私はそう思って立ち上がろうとしたが、上手く立てずに男性に支えられた。


「え、お前」


男性に顔を覗き込まれ、お互いの目が合う。


「え。昨日、、の?」

そこにいたのは黒髪の男性。西村春斗だった。
驚きのあまり、荒かった呼吸が一瞬とまる。


「ちょ、とりあえずこっちこい」


先に我に返った彼がホームの端に私を連れていって、まだ苦しむ私の背を優しく擦ってくれた。


「落ち着いて呼吸してみ」


彼の低い声が耳元で聞こえる。


…この声、なんだか落ち着く


「はぁ、、はぁ、、」


「、、すみません。ありがとうございます」


だんだん呼吸が落ち着いてくると、顔を上げてお礼を言った。けれど、なんだか気まずくてすぐに顔を逸らした。



「君、南高の生徒だったんだな」




「制服で、わかるんですか?」
私は驚いて自分の制服を見つめた。



「いや俺、今日から南高の教師だから」



「、、へ?」


西村さんの衝撃発言に私はなんともまぬけな声を出して彼を見つめたが、
向こうも少し動揺しているようだった。