アンを愛おしげに見つめながら、二人は言う。アンの今いる場所は、眠る前にいたルーサーの部屋ではない。全く見知らぬ可愛らしい部屋だ。二人によって監禁されているということだけはわかった。

「どうして……こんなことを……」

震える声でアンは訊ねる。すると二人は顔を見合わせ、「愛しているから」と返す。

「愛しているから、この恋を実らせたいんだ。叶えちゃいけない恋なら、叶うような状況を作ってしまえばいいんだよね」とルーサー。

「アンお嬢様の全てを独り占めしていたいのです。ずっとお慕いしておりました。初めて会ったあの時から、ずっと……」とシャノン。

二人に強く抱き締められ、アンは体を強張らせる。二人とも顔立ちは整っていて、とても優しい。好意を向けられているとわかったら意識してしまっていただろう。しかし、こんな形で負けられても嬉しくなどない。

「お願い、ここから出して……」

アンは震える声で言う。アンはあのパーティーの夜から二人の罠にかかっていたのだ。まるで蜘蛛の巣のように厳重に張り巡らされた罠に。それにかかった愚かな蝶は、あとは喰われるだけ。