サンタクロースに恋をした

「おい」

 莉子の前にさらに立つのは安藤で、低いその声から醸し出されるのは怒りの空気。

 なんで……? 

「お前、こいつの元彼だかなんだか知らねえけど、無神経にもほどがあんじゃねえの? こいつ怯えてるの見えねえのかよ? お前のその目は何のために付いてるんだ?」

 安藤…………? 安藤は何も関係ないのに。それなのに、どうして庇ってくれるの?

「は?」
「もういいわ、行きましょう。こんな人と話をするだけ時間の無駄」

 莉子に引っ張られ、あいつとの距離がどんどんと遠くなっていく。流石に追ってはこない。安藤は私の隣を何も言わずに歩いている。

 いつものように冗談言ってよ。

 横顔を見るとそこからはいつもの陽気な安藤は感じられない。

 そんなに怖い顔してないで、そんなに悲しい顔してないで、笑ってよ。