サンタクロースに恋をした

「渉ね、昔男の子にちょっとちょっかい出されたらしくて、『女みたいな顔しやがって』って。それがすごくショックだったのかしらね……それからあんな風になっちゃったのよ。感情を表に出さないっていうか、なにも考えていないっていうか。私にもよく分からなくて、渉の頭の中。それが原因でだいたいふられてるみたい」

 女みたいな顔……確かに、あの先輩の顔を見たら否定はできない。

 悪い意味ではなくて、女の人以上に汚れのない肌に吸い込まれそうな少しグレーがかった瞳。

 いい意味で男を感じさせない。芸術作品を見ている時のような気分にさせられる。

 でもそれって先輩が好んでその顔に生まれたわけでもないし、変えられない見た目でちょっかいを出されるのは私でも傷付く。

「でも……恋人は作るんですね? 興味なさそうなのに」

 少し矛盾しているような?

「顔を褒めてくれるから、って言ってたわよ」

 か、顔を褒めてくれる……? 渉先輩の考えていることがいまいち分からない。

「きっと自分の顔が嫌いなのね。だからこそそこを好きだと言ってくれる子たちとは一緒にいる。自分を肯定出来るんじゃないかしら? 結局、あんなんだからすぐに飽きられちゃうんだけど……でも、我が弟ながらなんだか虚しいわ」 

 そういうこと、か……。

 でも私は、他の人とは違うって言いたいわけじゃないけれど、先輩の顔じゃなくてあの時の優しさに惚れた。

 今まで、誰も中身を見てくれる人に会えなかったのかな、皆は彼の外見だけを見て好きって言うのかな、そう考えると胸が締め付けられる。

 渉先輩は今までどんな思いで彼女と一緒にいたんだろう。顔だけを見て近づいてこられるって、どんな気分なんだろう……。