次の日、先輩と安藤が作ってくれた美味しい朝食を食べて、料理部の合宿は幕を閉じた。

「ありがとうございました」

 先輩たちは駅まで送ってくれて、それぞれ帰路に着く。

 私は莉子と一緒に最寄りの駅まで来る。

「じゃあ、莉子、またね」
「待って」

 別れようとしたら、莉子が腕を掴んできた。

「何か、あったでしょ?」

 莉子は全てを見通した目で私を見る。

 ……そっか、すごいな莉子は。伊達に中学からの友達じゃない。

 悟られないように明るく振舞っていたつもりなのに、莉子には分かっちゃうんだ。

「うち、来る?」
「いいの?」
「うん」

 莉子はふんわりと優しく笑う。その笑顔に心が温かくなって、我慢していた涙が溢れてくる。

 こんなところで泣いたら周りの人に変に見られてしまう。そう分かっているのに、涙は止まってくれない。

「行こ?」
「う、うん」