サンタクロースに恋をした

「もう、そんな暗い話は止めましょう。せっかくのお菓子が美味しくなくなっちゃうわ。ね?」

 先輩は、焼きたての香り高いクッキーと淹れたての紅茶をテーブルの上に置く。

「そうだね」

 あの時に感じた彼からの優しさは嘘だったのかと思うほど、今は彼から何も感じない。

 表情だってポーカーフェイスを貫いているし。

「ん? 僕の顔になんか付いてる?」

 あまりにもあの時との印象が違うものだから、つい顔を凝視してしまっていた。本当に、あの時の人……?

「あ、いや、なんでも……」
「もう、後輩にくらいもっと愛想良く話もいいのに、ね、那美ちゃん」

 渉先輩と比べて梨衣名先輩は常に微笑みを浮かべている。

「あはは……」

 先輩をちらっと見ると、なにを考えているのか分からない目をしていて、そのままの表情で紅茶とクッキーを食べていた。違う人に感じるけど、やっぱりあの時の目と同じ……。

 私は、ポケットの中にあるハンカチをギュッと握った。