今日の朝今野からそっと渡されたこの紙を三木さんにどうやって渡すかずっと考えている。
さっき頼に相談したら『それとなーく渡せば大丈夫でしょ。』と言われた。

俺にはそのタイミングが見つけられない。

ふと前方を見ると三木さんが他校の男子生徒に話しかけられていた。
(気安く話しかけやがって…。)

俺は昨日も今日もろくに話せていないからか近づく者全員ムカつく。
隣の頼も一部始終を見ていたのだろう。俺に『まぁ、まぁ。』と言いながら苦い顔をしている。
心の中でそう思っていたら三木さんと伊藤さんと目があった。
俺が固まっていると他校の女子が突然話しかけてきた。

『あのー…。』
俺は機嫌がわるい。睨みつけるとその子は黙っていなくなった。

頼『おい。全面に出しすぎたよ。かわいそうだろ。』

『わるい。』
俺はそっぽを向く。

頼『あ。』
頼が突然そんな声をあげるもんだから俺も頼の見ている先を見る。
すると又三木さんが男子に話しかけられている。

(もう、我慢できない…。)
そう思った次の瞬間には走っていた。
頼が後ろの方で『おい!しゅう…!』と言っていたがかまっていられないくらいに俺は限界が来ていた。

(三木さんに近づくなー!!!)
俺は三木さんの所まで行くと手を取ってその場から離れるように走った。