一時間ほど経ったとき、村田が教室へ来た。
『お前達、もう今日は終わりにして帰れー。』

『『はーい!』』
皆一斉に返事をする。

その後、各帰り支度をしてゾロゾロと帰宅をしていった。
私は少し中途半端だったので切りの良いところまで進めてから終わりにした。

(ふー。終わった。よし!)
周りをみると真理亜、今野、峰君と白路君だけが残っていた。

真理亜『終わった?』

『ごめん。遅くなって…。』

真理亜『大丈夫だよん!帰ろっ!』

『うん!あ…。』
そう言って私はずっと今野からブレザーを借りっぱなしだった事に気がついた。

(やば…。)
物凄い気まずさを感じたが返さないわけには行かない。
みると今野は机に腰掛ける形で携帯をいじっている。

『あ、あの…。ありがとう。』
そう言って私はブレザーを今野の目の前に差し出した。

今野『あ、あぁ。もう大丈夫か?』
そう言った今野が携帯から顔をあげると目がバッチリ合ってしまった。

『う、うん。大丈夫。』
次の瞬間、今野の手が私の頭をポンポンッとした。

(は、恥ずかしすぎる!!!)
思わず下を向いてしまう。
それに気がついたのか
『あ…。わ、わりぃ。』
今野は手を頭から離し続けて、
『んじゃ。明日な!』そう言って机からピョンッと降りて教室を出ていった。

後ろを振り返ると真理亜と白路君が口を抑えて気まずそうにしている。
その横で峰君はそっぽを向いて携帯をいじっていた。

(気まず過ぎて心臓が痛すぎる…。)

その後、白路君と峰君に『お疲れ様』と言って真理亜と教室を出た。

(峰君ずっと下を向いてたな。)