−峰side−

頼が近づいてきたかと思ったら肩を突然組まれた。

『な、何?』
俺は低い声で言う。

頼『しゅうちゃん…。やりすぎ。』
頼も小声で言う。

『え?なんの話?』
俺は何の事かよく分からない。
頼が深いため息をついた。

頼『しゅうちゃんってこういうの初めて?』

『は?』
益々聞かれている意味が分からない。

頼『三木ちゃんの事。二人で追っかけてるじゃん。』

『あ、あぁ。』
俺はようやく言いたい事が分かってきた。

頼『三木ちゃんに好かれたいのは分かるけどお前らやり過ぎだよ。』

『わ、悪かったよ。』
俺は目を背ける。
俺は今までライバルがいた事なんてなかった。だから心の焦りが出ていたのかもしれない。それに、三木さんの羽織っているブレザー。あれは今野のだ。何か先を来された気がした。

頼『三木ちゃん、恋愛初めてっぽいじゃん?だからもう少し距離の縮め方を優しくしてやりなよ。嫉妬する気持ちは分かるけどな。』

『お…おう。分かった。』
そう言うと頼は俺の肩をポンポンっと叩いて伊藤さんの方へ戻っていった。

(やりすぎだった…かな。頼が言うんだから間違いないな。落ち着け、俺。)
俺は顔を二回引き締め、気持ちをリセットした。