家に着くと玄関で爺が話しかけてきた。
居間でお友達が待っていると言う。
大体予想はつく。
居間への扉を開けるとそこには案の定
頼が紅茶とクッキーを前にして『よぉ。』
と片手を上げた。
『やっぱりな。だと思った。』

頼『やっぱりなって…。しゅうちゃん冷たいな〜』
そう言って手をヒラヒラさせた。

『お前本当に俺んち好きだな。』

頼『うん!だって広いし〜爺が優しいしクッキー出てくるし』

(いつの間に爺って…。仲良くなってんだ。)

『んで。今日はなんのよう?』
俺はソファーに座り爺が俺のために運んできた紅茶とクッキーのセットに手を出した。

頼『何のよう?しゅうちゃんこそ何かあったんでしょ?』

『おま…。』
俺は紅茶を口の手前で止め頼を睨んだ。

頼『守人の隠し事は通用しないよ。』

『怖いな。お前は俺の何なんだ。』

頼『え?親友だよ?あ。心の友のほうね。』
本当にこの男は憎めない猫だ。

『学校で今野と話してきた。』

頼『へぇ。んで?なんて?』

『今野も三木さんを好きなんだって。』

頼『だと思った。アイツの行動見てれば大体わかるよ。』

『気づいてたんだ。』

頼『バーベキューの日しゅうちゃんと三木ちゃんがブランコで話していた時、今野ずっと下唇噛んで見てたもん。』

『そうだったんだ。』
そういえば、俺を読んだのも今野だったな。耐えられなかったのかな。

頼『でもさ…。関係ないと思うけどな。』
俺は何となく心を読まれているようで怖くなった。

『は…?』

頼『しゅうちゃんは今野が自分より仲良いから無理なんじゃないかって思ってるんでしょ?』

『お前は本当に心理学者かなんかか?』

頼『アハハハ。しゅうちゃんはわかりやすいからね。そこでしゅうちゃんが諦めるならそこまでの気持ちだったって事だし。』
何か物凄い矢が降ってきた。

『そ、そうか…。』

頼『うん。そうだよ。好きな気持ちが、本物なら相手が仲良いだろうが何だろうが、関係ないと思う。それは三木ちゃんにも失礼だしね。』
本当にいつも頼には驚かされる。
こんな事考えているとは思えないオーラなのにいつも的確なアドバイスで俺の背中を押してくれる。

『そうだな。俺は俺なりに頑張ってみるよ。』

頼『そうだよ。そうこなくっちゃ!応援してるよん!』
そう言って頼はクッキーを頬張った。

俺は心が軽くなった気がした。
三木さんに選んでもらえるように頑張ろう。