白路君『それでは…皆様楽しんでいきましょうや!カンパーイ!』

『『カンパーイ!!!!』』

皆でグラスを掲げてスタートした。




最初はガチガチに固まっていた私も数時間が過ぎてやっと馴染めてきた。

『ねぇ、真理亜。』

真理亜『ん?なに?』

ちょっと離れた所では男性陣がワチャワチャしながら戯れている。

『峰くんって兄弟とかいるのかな?』

真理亜『お!興味出てきましたね。』

『え。別にそんな…』

真理亜『そーゆーのは自分で聞くの!』
そう言って肩を思いっきり叩かれた。

(無理だよ〜)

私がモジモジしていると庭の端の方にブランコがあるのが目に入った。

(ちょっと一息つきたいな。)

私は一人ブランコで心を落ち着かせる事にした。



ギー。ギー。

白いブランコ、少し年期が入っていて錆びた音がする。

『三木さん』

突然呼ばれて私はビクッとなる。

後ろを向くと峰君がグラスを片手に立っていた。

(え…どうしよう。)

峰君『ちょっと疲れたかな。』

『えっと…大丈夫!疲れてないよ!』

峰君『よかった。あんまり…こんな風に集まったりしないって聞いたから。』

(真理亜が言ったんだ…)

『う、うん。私はあまり人と関わってこなかったから…。』

峰君『なんで?』
そう言いながら私のすぐ横の石に腰掛けてくる。

(ち、近い…)
心臓が今にも飛び出そうだ。

『真理亜以外友達と呼べる人いなかったし…。』

峰君『そっか。でもこれから作っていけばいいんじゃない?友達。』

『え?』

峰君『うん。早いも遅いもないと思うし。これから思い出だって沢山つくれると思うよ。』
そんな事を言ってもらえると思ってなかったので返す言葉が見つからない。

峰君『それに…。』
そう言った瞬間物凄い風が吹いて私は顔が髪で覆われた。

皆が遠くで『『うわぁー!!』』
と言ってるのが聞こえた。



そして気がつくと峰君の指が私の顔に覆い被さった髪をなぞるように動き、私の耳へと収まった。

そして私を見つめながら
『凄くかわいい。』
そう言った。


峰君の顔が少し赤くなっている。

私も恥ずかしさが頂点までいき顔が真っ赤になり凄くあつい。
峰君の優しい指の感覚が焼き付き鼓動も更に早くなる。


『そ、そんな…』


そう言いかけた時遠くから
『おーい!焼けたぜぇー!』
今野の声が聞こえてきた。




峰君が振り返り、
『おう。今行く!』そう答える。

そして『真珠子ちゃん行こ!』
そう言って手を差し出してきた。

状況が全く読めなくてキョトンとしていると、私の手を掴みグイッと引き寄せ
『いこ?』
そう言って峰君はそのまま歩いてみんなの方へ行ってしまった。
私は完全にフリーズ状態。






(今、真珠子って…呼ばれた。しかも手…握られた…。)


私は数秒間動けなかった。