ー数日後ー

いつものように私と真理亜は一緒に登校した。
そして三限目の体育の時間。
その日は私の一番苦手とするグラウンドを浸すらに走る授業だった。
本当は何周とか何キロとかあるが大の苦手な私からすれば何だって一緒だ。

案の定走り始めてから数分で真理亜達と何周も差を広げられ、一人歩くのとそう変わらないような速度でゴールを目指していた。

頭が朦朧とする。
お腹も痛い。こんな事するくらいなら保健室にいたほうがましだ。なんて考えながら走っていたら………。



こけた。
しかも豪快に。


そんな光景を目の当たりにしても誰も手を差し伸べはしない。
もうこの外見のせいで沢山惨めな思いをしてきたから慣れっこだ。周りの生徒から、『こけてやんの。うわー。かわいそう』などと聞こえてきても何とも思わない。


ゆっくりと重い体を起こし、ボロボロになったジャージの膝部分をみて直ぐに膝が血だらけになっていることが分かった。

痛みが徐々に強くなってくる。
(痛っ…!!)

足を見ると、本当に小学生が転んだみたいに血がでている。自分が惨めにも感じるが、小さいころなんかもっと頻繁にあったし、いじめだってされた。それに比べたらこんなの…。
慣れとは怖いものだなと自分自身に思った。
先生に転んだことを伝え、トボトボと水道に向かう。

蛇口をひねった所で気がついた。

(あー。ハンカチ忘れた…最悪だ。)
今日に限ってハンカチを忘れてきた。
仕方なく水に直接濡らして洗う。

(う~。しみる…)
痛いのは嫌いだ。


耐えながら傷口を水で洗っていると、ふと目の前が何かに覆われた。


(え?!何事?!)
何が起きたのかわからず、私がその場で固まっていると覆っていたものが少し外れ、目の前に差し出された。

『これ、使って下さい。』
明らかに女子ではない。
声が聞こえた方に顔を向けると
思わずその声の主を見て心臓が飛び出そうになった。




なんと、
そこにいたのは、ハンカチを持った 峰 守人だったのだ。