広い体育館に校長先生の声が響き渡る。
春の陽気に包まれている。
今日は卒業式だ。
私にはこの後にもう一つ大事な行事が待っている。

放課後今野、真利亜、頼君に挨拶をして私は一人先を急ぐ。
学校からタクシーに乗って数時間、空港に着いた。

中に入ると卒業旅行なのか沢山の同い年くらいの子がいて賑わっていた。
私はその中をかき分け目的の看板の前へ来た。

【香港行】

辺りを見渡すとサングラスにロングコートで俳優みたいないで立ちの彼を見つけた。

『香港行はこちらで間違いないですか?』
私はわざと耳元でささやく。

守人『お。おう。来てくれたのか。』

『当たり前。』
そう言って隣に腰かける。
守人が私の手をぎゅっと握ってくる。
そしておもむろに話し始めた。