外に出ると冬の冷たい風が頬をさした。
『うおぉ。さっぶ。』
思わず声に出る。
マフラーニット帽、手袋にモコモコのコートまで着てもやっぱり寒い。
だいぶ冬が本格化してきた証拠だろう。
私は自分の赤い自転車にまたがり走り出した。
すっかり家に引きこもっていた間に赤かった紅葉も枯れ落ち木が寂しそうに見える。
流川まではいつもの通学路を通って行く。
毎日のように通っていても自転車と歩きでは見慣れた景色もいつもと違って見えるものだ。
少し走った所でいつものパン屋が見えてきた。学校の日は二日に一回はお世話になっている。歩きだとあのお腹のすく匂いで寄ってしまうが今日はその間もなく通り過ぎてしまう。
その後五分ほど走った所で流川が見えてきた。
甲高い声や色々な生活音があまりしないせいか何だかいつもと違って人が少ないようにも感じた。
(真利亜まだ来てないのかな。)
流川の土手に行くための横断歩道で赤信号のため止まった。
トラックや大型の車が何台か通り過ぎたが車通りもそこまで多くはなさそうだ。
ここの信号は丁度曲がり角になっているため見通しが悪い。何年かに一度は交通事故あトラブルが起こる。
信号が変わり自転車のペダルに足を乗せ走り出す。
とその瞬間曲がり角から猛スピードで大型のトラックが飛び出してきた。
私はその電光石化のようなスピードに一気に血の気が引く。
(お願い!止まって!)
