-守人side-

体が痛い。
同じ姿勢でもう何時間も勉強している。
『あー!肩がー。』
時計を見ると開始から3時間ほど経っていた。
少し体を動かさないとダメだと思い簡単に筋トレをすることにした。
立ち上がり部屋の隅にあるバーベルに手をかけた所でスマホが鳴った。

《お疲れさん、頑張ってるかい?》
頼だ。最近受験勉強に必死な俺に気を使って家には来ていない。
その代わり毎日のようにラインが鳴る。

(ほんと、お前は俺の彼女か・・・。)
《そちらこそ毎日ご丁寧にご苦労さん。今体動かそうとしてた所。》
ちょっと嫌味っぽくなる。

《おぉ。そうか。真珠子ちゃんとは会ってるのか?》
俺はドキッとした。
そういえばあのクリスマス以来会っていない。

《それどころじゃなくて、会ってない。》

《まじか。例の物は渡せたか?》
プレゼントの事だ。あんな今を堪能してる顔をしている真珠子にプレゼントは少し早いような気がして渡すことが出来なかった。

《タイミング逃して渡せなかった。》

《え?!あんな教えてやったのに・・"(-""-)"》

《わるい。また見計らって渡すよ。》

《勉強も分かるけど、たまには息抜きしろよ?》
息抜きなんてそんな余裕もない。
毎日親父から勉強の進捗を聞かれるのだ。
いい加減嫌気がさすが彼にとって”理想の息子”だから仕方ない。

《うん。そうするよ。》
頼は心配かけるとしつこいのでそんな返信にしておいた。

ーコンコンー
頼に返信した所で扉をノックする音が聞こえた。

『はい。』

爺『守人様。爺です。』
執事の爺だ。何の用なのか。

『何の用?』

爺『社長がお呼びです。』

『何?』
社長とは俺の親父の事だ。
『分かった。すぐ行く。』
親父がめったに俺を呼びつける事なんてない。あの人が俺を呼びつける時はいつも一方的だ。俺の意見なんか聞きやしない。相談ではなく報告だ。
爺に返事をした後、俺は何故か胸騒ぎがした。