その姿はまるで、そう───────────

天使のようだった。



「あ、申し遅れました私、天の使いの者でございます。」

「…………あっ、は、はい…」



天の使いの者、と名乗るその人の声に数秒ほど固まってしまった。

…だって、こんなことってある?


天の使い、って、所謂天使、てやつだよね…?


そんなお方に差し出された手を取るのもどうかと思い、とりあえず自力で立ち上がった。

それから、初めて見る天使をじーっと眺める。

いや、正直失礼かなと思ったけど状況が状況だから仕方ない。


……ん?


そんなこんなでずっと見ていると、目の前の天使さんに少し違和感を覚えた。

違和感というか、なんか、足りないような…。



「……あっ、羽が、ない…?」

「あぁ、翼のことですか?」



すごく小さな声で言ったつもりが、聞こえていたらしく少しばかり申し訳なくなってしまった。