なんて言うぼくは、まったく眠れない。

ふと起き上がって、ベランダに出る。

やはり部屋とは違い、昼ほどではないが外は暑かった。



「星……きれいだな…」



少し顔を上げると、沢山の星が視界に映った。

今にも音が聞こえてきそうなくらい、煌めいていて。



「あ」



その時、左隣りから思わず出てしまいましたみたいな声が耳に届いた。

驚いて、空からそちらへバッと視線を移し変えた。



「びっくりした……燈真か」

「なに。ダメなら帰る」

「いやいや、誰もんなこた言ってない」



そう言って自分の部屋に戻ろうとする燈真を引き止める。

すると燈真もぼくと同じように塀に腕を乗せ、空を見上げた。


夜更かしやろうめ。良い子は早く寝ないと成長しないってのに。


…最近呆然としていると、よく思うことがある。



「…なんで彷徨ってんだろ…」



どうしてあの星に、手が届かないのだろう。


どうしてぼくは、ここにいるんだろう。


誰に言うでもなく、自分に問うでもなく、ただ、そんなことを考える。