ギャーギャーという騒ぎを聞きつけた星奈が、ズカズカとこちらへ歩み寄ってくる。
その顔は、如何にも殺意丸出しで、リビングにいたぼくらはヒヤヒヤしながらその光景を見守っていた。
「さっさと服を着れ変態優真」
「キャ〜どこ見てんの?月城ちゃんのエッ…うっ…」
語尾にハートマークがつきそうなほど乙女な喋り方をしていた優真が、短い悲鳴をあげた。
星奈のグーパチンを、お腹に喰らったらしい。
痛みに耐える優真の顔を見ながら、星奈は言った。
「分かったなら、さっさと服を着た方が身のためだと思うんだけどなぁ、優真くん」
「ひっ…!だ、誰か服を…!おれに与えてくれ…!ま、まだ死にたくない…!」
危険を察知した優が、ソファーの背もたれにかけてあったTシャツを優真に向かって投げた。
「ははっ、星奈かっこよ」
なんだかんだ言って、多分この中で一番強いのは星奈だと思う。
いや、これは確実だな。
そして優真が服を着ると、星奈の殺意が薄まっていくのが目に見えてわかった。
