思い出したんじゃなくて、見つけたんだ。

それは、ぼく達が出会って少し経った頃まで遡る────────。


と言っても、教室で大問題を起こした時だけれど。


それは、あのおばさんが騒動した時。


鮮明な赤い血の水溜まりと、ぼくらを囲む周りの悲鳴。

それを見た瞬間、何かが脳裏を駆け巡ったのだ。

あの大きな音と、狭間見えた澄んだ青い色。


あの独特な感覚と、噎せ返るような匂い。


……あとは、なんだろう。記憶が曖昧だ。



「ねっ、明日海行こうよ!」



その時、漂う雰囲気を壊すような弾んだ声が割って入って来た。

誰かと思えば、それは優真の声だった。



「明日は無理でしょ」



それを耳にした燈真が、バッサリとそう切り落とす。

確かに、明日明後日は遊ぶことは出来ないだろう。

買い物に行ったりしなければいけないから。

忙しいんだよね、何かと。