「優くん弱すぎ〜。ね、燈真くん」
「……ウケます」
「いや笑ってんのそれ。真顔に見えるんですけど」
「笑ってますよ。一応は」
「なんか腹立つ」
そう言って、優はソファーにドカッと座った。
それから始まった会話は言うまでもなくくだらなく。
「伊緒は何も思い出せてねーの?」
「あ、まぁ。ほんとに何も思い出せなくてさ」
少しの沈黙の後、優が口を開きそんなことを聞いてきた。
これといって、何も無いかもしれない。
「なんの手がかりもないの?困ったねぇ」
ぼく以外のみんなが、眉を顰めて何かを考える素振りを見せた。
それに少しの罪悪感を覚える。
…みんなには申し訳ないが、少しだけ、記憶の欠片を見つけたのだ。