怖いと、思った。
このままみんなと距離を縮めて、近づくことが。
ぼくは幽霊、だ。
テレビに出てくる、小さい子が見ると泣くあのお化け。
いつ消えてしまうかわからない。
『今ならまだ引き返せる。』
さっき燈真に向けられていた言葉が、脳裏を過ぎった。
夕日に向かって突き進む後ろ姿。
釣り、合わない……。
あんなキラキラした人間に、訳の分からない幽霊なんて。
すると、1人が足を止めて振り返った。
「行かないの?」
ぼくを真っ直ぐと見捉えるのは、唯一ぼくが見える人間で。
「早くおいでよ」
「置いてくよ!」
ぼくが見えない残りのメンバーも、今だけは、この瞬間だけはぼくを視界に映してくれている気がして。