「帰ったら何する?」

「まず風呂入ろうぜ」

「ベタベタするしそうだね」

「決まりー!」



田舎の景色に囲まれながら、夕に染まる街を歩く。

車の通りも人の通りもほとんどなくて、横並びで歩いていた。

そこに響く5人分の笑い声。みんな、楽しそうでなによりだ。

と、その時、そんな空気を壊すような音が響き出した。



「……なぁ、燈真。これでよかったのか?今ならまだ引き返せる。」



それは、ぼくが朝燈真に聞いたものだった。


みんなの視線が燈真に集中する。


朝からしきりに鳴り続ける携帯の電源を切った燈真は、そんな視線に応えるように口を開いた。



「僕が決めたことなんで。あの病室で独り死ぬより、あんた達と遊んで死にたいし。後悔も、してないよ。」



自然と止まっていた足が、緊張で震えていた気がした。