「どうせ死ぬなら、好きなことしたいじゃん」
そう言って、どこか儚さを感じさせる燈真の微笑。
燈真が初めて見せた柔らかい笑みに、どこか苦しくなる胸を抑えた。
それから一華が来たのは5分程後で、空が明るくなった頃だった。
⋆ ・⋆
「着いた〜!ここが別荘」
「へぇ、金持ちの割には案外普通だな」
時刻は7時30分を少し過ぎた頃だろうか。
電車酔いをして少しの時間を取った優が星奈に聞く。
確かにそうだ。一見普通の家だ。
でもよく見ると、普通より少し出来の良い家みたいな。
本当に外見はそんな感じで、特別目立っている訳ではなかった。
「普通が1番でしょ。暑いから中入ろ、案内するよ。」
ニコニコと笑顔を振りまく星奈の後ろを追って、ぞろぞろと家の中へお邪魔する。
この時のぼく達はまだ知らなかった。外見は普通でも、内見は普通ではないことを。
「お邪魔します」
律儀な燈真がそう言って中に入った後を追う。
「とりあえず部屋に案内…って、みんな口開いてるけど」
そりゃ口も開くだろうよ。
