燈真が病院から抜け出したのがバレるのも時間の問題だ。
それまでには、この公園を出ておきたいところだ。
「ねぇ、燈真。」
目の前にいる3人が会話をし始めたと同時に、ぼくは燈真に声をかけた。
「ん?」と顔だけをこちらに向ける燈真の瞳を、じっと見つめる。
それに首を傾げる燈真に心拍数が上がるのを感じながらも、口を開いた。
「本当に、これでよかったの?」
ずっと気になっていたことを、燈真に聞きたかった。
やっぱり、病院とか親とかと離れるとなると、不安なのではなかろうかと心配はしていた。
ぼくから視線を外そうとする燈真を目で捕まえ、逃げられないように睨むように見つめた。
そう、見つめたんだよ。
「怖いから。とりあえず睨むのやめて」
「え、そんなだった?」
うん、と頷く燈真に、そうか、と頷くぼく。
未だに睨んだままだった目の力を緩めた。
「…後悔は、してない」
強く睨みすぎたせいで、若干の痛みを感じる目を瞬かせていると、隣からそんな声が聞こえた。
そちらに顔を向けると、同じタイミングでこちらに顔を向けた燈真と視線が重なった。
それは、今までに見た事がないくらい綺麗で。
