それに驚いて声が出なかったけれど、目の前で扉が閉まった。
「びっくりした……燈真か」
尻もちをついている状態で上を見上げると、安堵の息を零す燈真がいた。
「あれ…ここに誰かいなかった？」
「疲れてるんじゃない？あと少しで終わるから、ぱぱっと終わらせよう」
そんな会話が、ドア越しに聞こえてきた。
未だに、ドキドキと心臓がジャンプしている。……ような気がする。
ぼくに心臓あんのかな。
1人の看護師さんはどこか納得いかないような様子だったけれど、「そうかも…」なんて零しながら先を歩いていった。
2人分の声と足音が遠ざかる。
よ、よかったよかった…。
「伊緒、行くよ」
ほっとしていると、外を確認した燈真がぼくに手を差し伸べていた。
