それから1回へ続く階段をゆっくりと下り、裏口方面へと向かう。
院内が静かなせいか、ぼくは足音が立たないというのに自然と忍び足になってしまう。
「あ、そういえばここら辺の近くに優達が来てるよ」
「え、早く言ってよ。朝とはいえ夏だし暑いじゃん。」
そう言い燈真が、ゆるりと歩いていた足を若干速めたその時───────。
「待って…!誰かいる」
ずんずんと先へ進んでいく燈真の腕を、グイッと後ろに引っ張った。
奥の方から、2人くらいの看護師さんが会話をしながら歩いてきていた。
慌てて辺りを見渡すけれど、どこにも身を隠す場所がない。
「どーすんの…!?」
「耳元で騒ぐな」
あわあわとしている間に、だんだんと近ずいてくる看護師さん。
「ん?誰かいる?」
その時、1人の看護師さんが目を凝らしてこちらを見てきた。
ひょえぇ…!と焦っていると、誰かにグイッと後ろから引っ張られた。