「出来た」
ペンと一緒に置いた際にチラッと見えた、「ごめんなさい」の文字。
そう言う燈真はリュックを背負いながら、ドアをゆっくりとスライドさせた。
そこから顔をひょっこりと出し、左右を確認する。
ここから1回に降りなければ、外に出ることは出来ない。
「階段で下に降りて、裏口から出よう」
「おぉ〜かっこよ」
小さい頃からこの病院に通っているため、院内を知り尽くしているらしい燈真の案に頷く。
逆にテキパキしすぎてついてけない時も多々あるが。
静か過ぎる今の時間帯は、何かが出そうで若干怖い。
生きてた頃はビビりだったのかな。
幽霊のくせに幽霊が怖いので、普通に歩いている燈真にしがみつきながら足を動かす。
幽霊が幽霊に出くわしたって、呪われるわけじゃないから別になんともないんだけど…。
「ちょ、離れて。歩きにくいんですけど」
鬱陶しがられるけれど、やはり怖いものは怖いのだ。