風と混ざって聞こえてくる夏の音。
日差しを照りつけたアスファルトが熱い熱気を漂わせている。
どこを見ても陽炎が揺れていて、蝉の声は止むことを知らない。
毎日が晴天で、教室の窓から見える空に浮かぶ入道雲を見ていた。
昔っから、「あぁ、青春したい…」と思わせる夏の世界。
勿論、今まで青春らしいことをしたことがない。
部活にでも入っていれば青春らしいことの一つや二つ出来ただろうに。
そもそも青春とは。
そこから始まるのだ。
「優さぁ、その顔面偏差値ちょっと分けてくんない?」
あぁ、そういえばそうだ。
昼休み。冷房の入った涼しい空き教室。
であれば良かったけれど、冷房を付けたら面倒な事になるので窓を全開にしている。
そんな中、クールな要素とチャラい要素が混じっている目の前の男は、いちごミルクを飲んでいる。
「お前さぁ、一応俺先輩だと思うんだけど。」
小さい頃から一緒にいるけれど、先輩は先輩だ。