「あの、早瀬くんは」
「…燈真でいいですよ」
「あ、はい…」
何をそんなに怖がっているのか、この先輩は会った時から若干怯えながら僕と接する。
明らかに、他の人と接し方が違うのだ。
「あ、燈真、くんはどこの高校に行くのか気になって……」
「確かに。それは私も気になる!」
奥の方から満面の笑み付きで、興味津々な月城先輩が僕を指さした。
この人は、変わったと思う。
自分に合うメイクをし始めたし、七瀬先輩とも学校ではしょっちゅう話をしていると伊緒が言っていた。
まぁ、覗き見だろうけど。
「まだ決めてないです。」
まだ、決めていない。
口から出したそんな言葉が、そのまま僕の中に反響した。
