「僕、病院から出たい」
どうしようかと星奈達と話していると、燈真が口を開いてそう言った。
病院から、出たい…。
その提案に驚くも、すぐにみんな意見を言い出した。
「お前死ぬかもしれないんだぞ?」
「私も、治して元気になって欲しいし…」
それは優真も星奈も同じだった。
「僕はずっとこの病気が友達だった。いつも一緒で、離れられない。それは病院も一緒で、真っ白な個室に独りで過ごすのはもう嫌なんだ。だからお願い。自分がやりたいことして死にたいんだ。」
孤独を感じていたひとりの少年は、もう無理だと訴えた。
独りで寂しく過ごすのは嫌だと、孤独を感じるのはもうごめんだと。
みんなが押し黙った。誰も何も言えなくて。
「よし!じゃぁ、別荘があるからそこに行く?」
その時、星奈が沈黙を破った。
「少し遠いけど海もあるし、そこで花火も出来るし?人も少ないから過ごしやすいと思うんだけど。どうよ?あ、小さいけど病院もあるよ」
みんなが顔を伏せ、しばらく考える。
夕に染まり始めた街。
秘密基地の中にも、窓から茜色の夕日が差し込んでいた。
