「じゃ、入院してるから行けないってこと?」
「うん」
「外出許可されたらいいってことなんだよね?」
「うん」
「じゃ遠出は無理か」
「それはどうだろう」
夏休みの計画を立てるのはいいんだけれど、燈真が行ける範囲を考えると、うーんてな感じなんだよなぁ。
燈真はみんなで行ってこいって言うけれど、それにはみんな反対した。
みんな揃って行きたいらしい。
「じゃあさ、どっか行くのやめて燈真のとこに行くのは?」
「俺はそれでもいいぞ」
「私も、全然。みんなといられるなら」
「おれも〜」
「だってよ燈真。どう?」
ぼくも全然それでいいんだけどな。
しかし肝心の燈真があまり納得しないようで、首をひねらせていた。
何かを考えているような、深刻な顔をしながら。
ふと、本棚の上に置いてある時計に目を向けた。
針は5時になる少し前の数字を差していて、もうこんな時間なのかと少々驚いてしまった。
