「俺花火したい」
「ふっ、優くんらしい〜」
「絶対馬鹿にしてんだろ」
「気のせいだよ〜。で、花火ね。」
小馬鹿にする優真に文句を言いながら、優がため息を吐く。
確かにその顔で花火がしたいだなんて言われたら、笑ってしまうのもわかる気がする。
いやでも、これも俗に言うギャップ萌えってやつなのかもしれない。
「燈真と伊緒は?」
「あ、ぼくはどこでもいーよ」
「そ。じゃあ、燈真は?」
ぼくの扱いが若干適当な気がするのはぼくだけだろうか。
え、ぼく星奈たち助けたよね?あれ、もしかして幻?
そうだと言うのならば、妄想が激しすぎて泣いちゃうよぼく。
「僕、多分行けない。多分じゃなくて、絶対……」
「え、どうして?家族でお出かけとか?」
「まじ?俺家族でどっか行ったこととかねーわ」
しまった、と思った。
燈真の病気のことを知っているのは多分ぼくだけ。
今まで燈真がそれを黙っていたということは、多分知られたくないからだろう。
燈真に限って、言うの忘れてたなんてことはないはずだから。
チラッと隣に視線を向けると、少し焦っている様子の燈真と目が合った。
