「はぁはぁ……っ、はぁ…」



世界が揺れてる。

僕を嗤ってる。

とてつもなく怖い。

これが僕の、トラウマだ。


────────その時、着信音が部屋に響いた。


それに驚きながらも、今は誰かの声が聞きたかった。



『あーもしもし。優真か?』

「優希(ゆうき)……優くん…」

『おい、なんかあったろ。今どこ?』

「…部屋」

『外に出てろ』



それから、一方的に通話が終了された。

僕になにかあったのが分かったのは、呼び方のせいだろう。


あと若干声が震えてしまったから。


普段は「優くん」呼びだけど、何かあった時は無意識に「優希」呼びになるから。


まぁ年上だけど。優くんが。


僕は言われた通り通学用にしているバッグを背負い、お母さんたちに声をかけてから家を出た。


それから待つこと数分。



「優真!」



蹲っていた僕は顔を上げ、眩しい光に目を細めながらも立ち上がった。



「優くん」



僕より身長が高いから、それなりに見上げなけらばならない。