「ねぇ伊緒。昨日言ってたことそろそろ教えてくれない?気になって眠れなかったんだけど。」

そう言った星奈は若干寝不足気味である。

メイクのせいで元々鋭かった目付きがもっと酷くなっていた。



「まぁま、落ち着きたまえお嬢さん方」



そう言いながら、何に怯えているのかさっきからぶるぶると震えている一華にも声を掛けた。


行先は二人が通っている高校。


ぼくはそこに、怯えている2人の付き添いという"設定"でうろちょろしている。


設定ね。


それにしても、ぼくが見えるのはあの生意気な受験生だけらしく、他の4人は姿、形すら見えないらしい。


まったく、困ったもんだね。


寝不足気味で、今にも眠ってしまいそうな星奈に「パンツ見えてるよ」なんて目覚ましをかけながら、学校に近づく度、怯えている一華に話題を振り続けた。



「わお、マジでお嬢様じゃん?」



しばらくが経ち、なんとか2人と学校までやってきたのはいいものの。

お金持ちが通っているような、それはそれは素敵な高校だった。