だいぶ色んなことがありすぎて、胸に手を当てたいた時だった。



「ちょっといい?」



そんな僕の前に手を翳し、まるで犬に合図する時のよう。

なんとも言えない笑みを浮かべている人懐っこいやつ。

ここで待ったが出来ないと負けな気がするので、その手を振り払うのを我慢して、大人しく待つことにした。



「ね、その子可愛い?」

「は…?」



こんな……こんっなくだらない質問を聞くために僕は待たされたのだろうか。

大人しく黙って待っていたというのに、ここは噛み付いていいぞ犬。


と言いたいところだけど、彼以外のみんなも若干気になっているようだった。


はぁ……と仕方なく思った僕は、幽霊へ視線を移した。

可愛い、というより綺麗な顔立ちだと僕は思う。

シュッとした切れ長の目も、少し薄い唇も。

あれ、違う。

もしかしてこいつイケメンなのか?